Z1000R1 N.K様 エンジン不調の調査

10年以上前にエンジンをフルオーバーホールしたそうです。
その後余り乗らずに10年ほど寝かせた後走行したら、
白煙が出るようになったとのこと。
現在は1気筒死んでいる状態だそう。
ヘッドガスケットからかなりオイルが漏れています。
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お預かりしてからエンジン始動を試みましたがかからず。
クランキングでもかなり異音がでていました。
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ヘッドガスケット付近のオイル漏れはセンターのOリングでしょうか。
ヘッドガスケットもかなり薄いものが使われているようです。
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先ず、カム周りを点検します。
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バルブクリアランスを計測してみると狭いところが多く、
2番エキゾーストは完全にクラッシュしています。
0.04ミリのシムも入らずリフターを回すこともできません。
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ヨシムラST-2カムのノーズをよく見ると、丸く削れています。
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カムホルダーの締め付けトルクを確認すると、
エキゾースト側3本はトルクがかかりません。
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オイル漏れいていたテンショナーを外します。
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Oリングが潰れて締め代が無くなっていたようです。
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カムを外します。
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先ほどの2番エキゾースト側リフターは凹面に削れています。
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リフターを外してみると、インナーシムが飛び出していました。
リテーナーにも傷がついています。
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リフターの摩耗はかなり進んでいます。
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定規を当てると摩耗の様子がよく分かります。
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高回転でシムが飛び出した場合は、
もっと激しく傷がついたりシムが割れたりする場合が多いので、
組み付け時に既に挟んでいたと思われます。
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シムの上側には、リフターの凸部の跡がスタンプされています。
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カムノーズも定規を当てると摩耗の様子が分かります。
ここまで摩耗するとカムは使用不可です。
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正常なカムの場合は真っ直ぐです。
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シリンダーのM6ボルトもトルクチェックしてみるとネジが上がってしまいました。
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ヘッドナットのトルクも数か所がトルク不足です。
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ヘッドを外します。
中央のOリングは激しく潰れており、1か所切れかけています。
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ヘッドを点検します。
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カムプラグのネジ山も1ヵ所欠けています。
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バルブ回りの詳細点検は後程。
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シリンダーのOリングは挟み潰されたようにバリが出ています。
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ヘッドガスケットは0.7ミリ厚の薄いものです。
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シリンダーのOリング溝は通常より0.5ミリほど浅い1.7ミリです。
シリンダー上面もかなり面研されているようです。
Oリングは通常より1ミリ以上も潰されていたようで、
これなら一体型のヘッドガスケットを使うか溝を深く掘る必要があったはずです。
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面研量が多いようですが、バルブクラッシュは無いようです。
しかし、インテーク側のトップランドに崩れがあります。
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拡大するとこんな感じ。
ヘッドには溶損は無いので、ヘビーノックではないようです。
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シリンダーを外します。
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3,4番ピストンのトップランドは激しく崩れています。
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ピストンを外して、クランク小端部に点検棒を通してみます。
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左右から通してみましたが、1番のズレが大きいようです。
ここまでズレていたらクランクは要交換でしょう。
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ピストンはヨシムラのφ73ミリ鋳造品です。
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燃焼室にオイルが多かった3番をよく見ると、
オイルリングが固着して溝の奥に挟まっています。
合い口が開いていないので、2ndランドが下がって挟まっているようです。
2ndリングが効いていないと白煙が大量に出ることになります。
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ここまでの点検で、クランク交換、カムホルダーネジ山修正、
ピストン交換、シリンダー交換は確定でしょう。